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      MAIL MAGAZINE  梟雑話

       2002/05/27  [001]

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 ふくらうはふくらうでわたしはわたしでねむれない
                 山頭火の句
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 梟雑話1                                                               
                                              
(ふくらうはふくらうでわたしはわたしでねむれない  山頭火)

  どうしやうもないわたしがあるいて(い)る  山頭火

 私がかの有名な山頭火を知ったのは、京都に書道を勉強しに通っていたころ、
先生が書いてくださった近代詩文書のお手本によってだった。
私の番がきて先生が書いてくださったお手本がこの句であった。そのときの私
は全く山頭火も自由律の俳句も知らなかった。子どものことでとても悩んでい
た時期だったので、どうして先生は私の心を読み取ったのだろうかとどきりと
したものだった。
 フランキー堺が演じた山頭火のTVドラマが放映されたあとで、先生はお手
本の材料に選んだらしく他の仲間たちもほとんどの人が見たようだった。
 それからは山頭火日記を全部読み句集も読みあさり、関連本を買ったり図書
館で借りたりと頭の中は山頭火、山頭火でいっぱいだった。
 無駄な飾りの一切ないずばり言い切る山頭火の句にあってからは、書も変わ
ったと思うし自分自身も飾るということができなくなった。
 その後再放送もなくあきらめていたら、なんと数年たって夫の転勤で行った
シカゴで同僚の奥さんに貸してもらってビデオで見ることができた。名演技で
あったけれど日記や写真で感じた山頭火とは少し違っていた。
 シカゴに行く前に家族旅行で松山に行った時には道後温泉を見て終焉の場所
一草庵を訪れた。一番上の息子と途中でバットというタバコを買って
     
  鉄鉢のなかへも霰  山頭火

という句碑に供えた。

  ふくらうはふくらうでわたしはわたしでねむれない  山頭火

前々から梟の神秘さに惹かれていた私の心にぐっと入り込んできたのはこの句
であった。いつもいつも心の中から離れることはない。行く先々で集めた小さ
な置物や絵は今はしまってあるが、そのうちに写真にでもしてホームページで
見ていただきたいと思っている。

その後山頭火の句をいろいろな形で表現している。
         http://hokuyo.rainy.jp

週1回以上ということで山頭火の句他を紹介しながら思いたったことを書いて
いきたいと思う。

  旧字体が使われているところは( )で括ってあります。

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    著者 佐藤北耀

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