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MAIL MAGAZINE 梟雑話
2002/06/17 [005]
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ふくらうはふくらうでわたしはわたしでねむれない
山頭火の句
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この田舎の生活はすぐに私になじんで、私は文字通り自然児として本領を発揮
することになる。
クローバー、スカンポ、アカツメクサ、タンポポ、スズメノテッポウ、ネコジ
ャラシ、ペンペングサ、オオバコ、モジズリ、スギナ、アカザなどの原っぱは
子どもたちの良く集まるところで、繋がれている山羊や綿羊のふんをふまない
ようにしながら、走ったり、寝転んだり、逆立ちをしたり夕暮れまで遊んだも
のだった。クローバー、タンポポで冠や縄跳びの縄を編んで「大波小波風吹て
山、一つ、二つ、三つ・・・・」「お嬢さんおはいり・・・・」何度も何度も
修繕しながら縄跳びをしたり、酸い味のするスカンポをかじって、アカツメク
サの花の蜜を吸って、ペンペングサは実のところを折り曲げて指にはさんで
くるくる回してペンペンなる音を聞いたり、できるだけ太くて強そうなオオバ
コの茎を探してからめて二人で引き合い切られたほうが負けという遊びも良く
やった。
特に大まじめで一生懸命やったのは四葉のクローバー探しだった。
一番たくさん見つけた人が幸せになれると皆信じていた。
寝ころべば露草だった 山頭火
蜂のをる花を手折る 山頭火
花いちりん風がてふてふをとまらせない 山頭火
(てふてふ=ちょうちょう)
学年が進むにつれて女の子の遊びから離れて野山の探検、ターザンごっこと私
はほとんど男の子とあそんでいた。棒を持って草をなぎ倒しながら野山を探険
するのである。春は山菜、夏から秋は木の実草の実、秋はきのこ山葡萄と摘ん
だり食べたり手足に傷を作ってもこんな楽しいことはなかった。自然の恵みは
数え切れないほどで、それぞれについては後日書くことにする。
その頃小学館の雑誌にターザンの連載があった。
林のなかの程よい格好の丈夫そうな幹と木の枝に板切れを渡して床を作りムシ
ロで囲った基地を作り、縄を枝に結んで垂れ下げてそれにぶら下がって揺らし
て「あーああー」と叫んで遊ぶのである。毎日体力の限り遊んだものだ。
育ててくれた野は山は若葉 山頭火
けふのみちも花だらけ 山頭火
水たまりがほがらかに子供の影うつす 山頭火
枯草ふみにじって兵隊ごっこ 山頭火
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著者 佐藤北耀
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