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      MAIL MAGAZINE  梟雑話
       2003/06/09  [058]

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 ふくらうはふくらうでわたしはわたしでねむれない
                 山頭火の句
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運動会

日曜朝6時パンパンパーンと花火が響いた。
小学校の運動会の合図だ。
この地区は酪農と畑作の農家が多いが、春仕事が一段落したという事なのだろ
うか。

昭和20年代後半の美原小学校の運動会は、農場の一大行事だった。
その年によって多少違うが、全校児童数が30人前後なのだから、父母兄弟、
農場の職員も参加するものだった。

プログラムは楽しいものが多く、ボールを蹴って走り旗を回って折り返してく
る競技、縄跳びをして走り同じように戻ってくる競技、卓球のラケットにボー
ルをのせて落とさないように走る競技、走った先においてある封筒の中に書い
てある人や物を探して持ってくる競技。

むこうに立っている二人のモデルにズボン、スカート、シャツ、ブラウス、ネ
クタイ、前掛け、帽子、スカーフ、靴などを順番に着せていく競技は、焦って
シャツやブラウスのボタンがなかなか掛けられないのだった。

綱引きは子どもと大人が一緒になって力を合わせて一段と盛り上がった。
リレーも児童の後に父兄や職員の代表が走った。
大人は急に走って転んだり、速い人遅い人が入り混じって思わぬ結果になった。
皆声を振り絞って応援したものだった。

白い運動シャツと半ズボン、運動会用の底のしっかりした白い足袋、紅白裏表
のハチマキが運動会の服装だった。
白い足袋は当日用で大抵一日で駄目になったが、あれを履くとなんだか少し速
く走れるような気分になる不思議なものだったが、石を踏めば痛く雨あがりに
は濡れてしまうのだった。

時代は変わって我が息子の一年生の時は履いていた運動靴が脱げて、そこは子
どものこと戻って靴を履きなおして走ってすっかり遅れてしまった。
転んだ子を待っていたこともあった。
懐かしい思い出だ。

今日は日中はかなり暑かったので、よい運動会だったろう。
ちょっと覗きにいきたいと思っていたが忙しくていけなかった。

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ライラックが咲いている今は、リラ冷えというのだろうか。
6月も中旬になろうとしているのに朝晩は寒い日が多い。
昨日今日は日中暖かかったので蝶もひらひら飛んでいた。
去年は梨の花やライラックに花虻や花ムグリがたくさんいたが、今年はほとん
どいない、どういうことなのだろうか。
畑仕事には少々寒いくらいがいいのだが、近隣の農家の人が今年は牧草の伸び
が遅いといっていた。

  (は)れててふてふ二つとなり三つとなり  山頭火

  草を咲かせてそしててふてふをあそばせて  山頭火

  ひらひら蝶はうたへない  山頭火

  てふてふひらひら風に乗って来た  山頭火



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    著者 佐藤北耀

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