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      MAIL MAGAZINE  梟雑話
       2003/08/18 [064]

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 ふくらうはふくらうでわたしはわたしでねむれない
                 山頭火の句
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今年は7月に入っても、朝夕はストーブが欲しいような肌寒い日が多かった。
結構にきつい畑仕事に汗だくになりながら、これでジリジリ照ったら思うよう
に働けないなと思いながらも、成育の遅れているダリアを見ては明日こそは晴
れて欲しいものだと思う毎日だった。
7月も終わり8月になってもカーっと照った日は数えるほどしかなかった。

春蝉は早くからジージー鳴いていたのに、夏になってから蝉の声は全く聞こえ
ず照った日に数匹の声を聞いただけだ。
畑作業をしながら聞いていたラジオの子ども電話相談で、蝉は羽化しても気温
が低ければ鳴くことができないのだといっていた。

例年だと蝉は林にうるさく木霊して、そこらの草、木に脱け殻がついているの
だが、今年はさっぱり見かけない。
そのかわりトンボが早くから飛び始めた。
子供の頃からクルマトンボと呼んでいた、羽の先に茶色の縞があり飛ぶと車が
回っているように見えるトンボである。

ほとんどの台風は北海道に来る頃には温帯低気圧に変わって、雨風の被害があ
るくらいなのだが、このたびの台風10号は日高地方を直撃して豪雨災害をも
たらしていった。
大量の木を押し流し、家屋、田畑、家畜を押し流し、亡くなった人行方不明の
人もでた痛ましいものになった。

JR日高線は全線開通に2ヶ月もかかる被害を受けた。
流木は河口に海岸につもって復旧作業がはかどらないようだ。
低温で農作物の収量が心配されているのに、台風の追い打ちで北海道はたいへ
んだ。

今夏入道雲らしいものは2、3回見たが、夏は通り過ぎてしまったようで秋の
空、風になってしまった。
やはり夏は蝉がうるさいなと思うくらいでなくてはいけないのだろう。
数日前から赤蜻蛉を見かけるようになった。

  石にとんぼはまひるのゆめみる  山頭火

  虫のゆききのしみじみ生きてゐる  山頭火

  われをしみじみ風が出て来て考へさせる  山頭火

  暮れてなほ耕す人の影の濃く  山頭火


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    著者 佐藤北耀

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