##################################################

      MAIL MAGAZINE  梟雑話
       2004/01/06  [070]

##################################################
 ふくらうはふくらうでわたしはわたしでねむれない
                 山頭火の句
##################################################

一昨年秋、伊達に住むいとこを訪ねた時に、家の軒先に吊るしてあるトウモロ
コシや金網の筒に入れてある牛脂を食べに、いろいろな野鳥が来るのを見てな
んとも羨ましかった。

父に家でもやってみたいねと言ってみたがかんばしい返事が返ってこず、小鳥
の糞によってもたらされる雑草や木が生えては困るのかと思って諦めていた。

昨年暮れ札幌のいとこを訪ねたら、これまた庭に作ったヒマワリの種や小鳥の
餌、牛脂を置いた餌台に、ちょうど夕方だったのでお宿に帰る前の腹ごしらえ
に、たくさんの雀が騒がしく群がっていた。
昔は郊外であったが今はすっかり都会になって住宅が建ち並んでいる所である。
時々カケスもやってくるし季節にはアトリも来ると言う。

「そうそうアカゲラも来るのよ」と聞いて間なしに、雀が立ち去ったあとにア
カゲラが現れた。
赤い帽子を被って下腹部を赤く染めたアカゲラは、脂を突付いて土の上を歩い
て何かを啄ばんで去っていった。

ここまで見てはもう我慢が出来ない。
父がどう言おうと餌をおいて脂を置いて鳥を呼んでみよう。
二階の自分の部屋からよく見える木に、果物などの赤いナイロンのネットに脂
身を入れて紐で縛り付け、木の股を利用して餌台を縛り付け買ってきたヒマワ
リの種と小鳥の餌をおき、ペットボトルを利用した水入れを作ってぶら下げた。

枝先にはりんごやみかんを突き刺して待ったが、その日も次の日も鳥は来ない。
車道に面しているので警戒してこないのだろうと父に言われて、畑側の庭にも
同様に作った。

次の日畑側の餌台にカケスが一羽現れて脂を突付いていた。感激!感激!
二階の窓からじっと動かないようにして見ていたが、その用心深いこと。
近くの枝に止まって辺りを窺がっている時間の長いこと、そして慌しく脂を突
付いてまたすこし離れて辺りを見ている。
何度も繰り返して立ち去った。

入れ替わりに黒い帽子に黒いネクタイを締めた正装のジェントルマン(?)が
可愛らしい鳴き声と共にやって来た。シジュウカラである。
小さな嘴で脂をせっせと突付いている。
本当に可愛らしく、毎日双眼鏡で長いこと眺めている。

数日前からヒヨドリが来て梨を突付いている。
昔は冬にはヒヨドリがいなかったそうだが、今は年中いるようになったそうで
ある。
シジュウカラもヒヨドリも今ではどちらの餌台にも来るようになった。
そういえば最近からだの大きい羽のきれいなカケスが来ないがどうしたのだろ
う。

  雀のお宿雀が泊まりにくる  山頭火

  夕雀にぎやかなり雀と仲よし  山頭火

  木の葉が雪をおとせばみそさざい  山頭火

  入日尊し草くぐる鳥よなかぬ鳥よ  山頭火

  木の実があって鳥がゐて山がしづけく  山頭火

  すすきに雪の小鳥はうたふ  山頭火

           ***********
あけましておめでとうございます。
昨年中はご愛読いただき有難うございました。
忙しさにかまけて怠けているうちに段々書けなくなってしまいました。

自宅を離れているので資料も少なくて書けないことを息子に言ったら、身近な
ことを雑談風に書けばいいんだよと言われて、気が軽くなりました。
週一回とはいかないかもしれませんが、今年もよろしくお願いします。

ホームページhttp://hokuyo.rainy.jp/にウトナイ湖の白鳥の美しい姿の写真
と年賀状を載せました。
御覧いただければ幸いです。

###################################

    著者 佐藤北耀

###################################